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公務員の兼業と一般社団法人の設立について〜5.公務員による設立の留意点〜

皆さんこんにちは!
前回に引き続き、「一般社団法人の設立手続き」についてお話させて頂きます。
今回のテーマは「公務員による設立の留意点」です。

これまでのまとめ

ここまでの「まとめ」を兼ねて、兼業に関して地方公務員が禁止されている事項を復習していきましょう。
まず、皆さまもよくご存じのとおり地方公務員は「営利企業への従事等」が制限されています。

「営利企業への従事等の制限(法第三十八条)」

職員は、任命権者の許可を受けなければ、以下の内容が制限されています。
・「営利企業」の役員になること
・「営利企業」を自ら営むこと
・「営利・非営利企業」に関わらず、報酬を得ること

つまり、当法人のように無報酬で「非営利団体」を営むことに関しては、許可は不要となります。ただし、事業活動を行う上で注意すべきことが3つあります。

  1. 信用失墜行為の禁止(法第三十八条)
  2. 秘密を守る義務(法第三十四条)
  3. 職務に専念する義務(法第三十五条)

関連法律に係る注意点

これらの法律に抵触しないように当法人が実施している内容を紹介させて頂きます。上記の法律に関する注意点は以下の3つとなります。

  1. 法人の活動において職務上の利害関係者から便宜を受けないようにする。
  2. 職務上知りえた秘密を法人の活動に利用しない。
  3. 職務(勤務時間)中に法人の活動を行わない。

これらを遵守して行う無報酬での「非営利団体」としての活動は、私的活動であり地方公務員法では制限されておりません。
ただし、この場合においても自治体によっては許可制とする場合もあるようなので、事前に所属先の人事課に確認する方が良いでしょう。
また、一般の方々には営利企業や非営利企業の違い等を十分に理解されていない方もおられます。仮に、公務員が許可を受けずに兼業を行っているという誤解が生じた場合、苦情や通報は所属する官公庁の人事部門に寄せられます。そのため、許可が必要でない場合でも人事課等の関連部署に相談することをお勧めさせて頂きます。

法人設立に際して工夫した点

当法人においては次のような対応で法人設立を実施しました。

  1. 人事課に「非営利団体を設立し勤務時間外に活動することの可否」を確認
  2. 人事課に定款の写しを提出
  3. 社員総会の議事録に理事報酬は「無報酬」と明記し、その写しを人事課に提出

また、次のような工夫を行いました。

  1. 理事報酬について、法人HPに「無報酬」と明記
  2. 法人HPに「所属する官公庁向けの提案資料作成など、内部情報の漏洩等の不適正事案につながる恐れのある場合、受注できない」旨を明記
  3. 法人電話を設置しない(本業に専念できるように)

以上で『公務員が一般社団法人を設立するには』の解説を終わります。
次回以降は番外編として、「基金の設立について」と「確定申告について」を解説させて頂きます。最後までお読み頂きありがとうございました。

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